語彙・読む力
単語は「覚える」より「再会する」
覚えたはずの単語が、翌日にはもう出てこない。これは記憶力の問題ではなく、人の記憶がそういうふうにできているからです。忘れることを前提にすると、単語との付き合い方が変わります。

この記事のポイント
- 忘れるのは失敗ではなく、記憶が働いている途中の姿
- いちばん効くのは、思い出そうとした瞬間
- 読書の中の再会と、単語帳での再会は届く範囲が違う
忘れるのは、失敗ではない
昨日調べた単語が、今日にはもう出てこない。何度も見たはずの言い回しが、読んでいる最中には浮かばない。英語を続けていれば誰にでも起きることですが、多くの人はここで「自分は記憶力が悪い」と考えます。
けれど、人はもともと忘れる生き物です。一度覚えたことは時間とともに薄れていき、次の日にはもう出てこないことも珍しくありません。努力が足りないからではなく、脳がそう働いているからです。
覚えられないのではなく、まだ再会していないだけ。そう考えたほうが、実際に近いです。
記憶が強くなるのは、思い出した瞬間
忘れることが失敗でないのには、理由があります。人の記憶は、一度きれいに覚え込んで固定されるものではありません。いったん薄れたものをもう一度引き出したときに、強くなります。
だとすると、うっすらとしか思い出せない状態は、都合が悪いどころか好都合です。すぐに出てくる単語をもう一度思い出すことにも意味はありますが、引き出す手間がかからないぶん、効き目は小さくなります。
少し詰まってから「ああ、これか」と浮かぶ。この引っかかりのある瞬間に、記憶はいちばん太くなります。忘れかけていたからこそ効く、ということです。
再会には、二種類ある
単語との再会には、性質の違う二つの道があります。
- 読んでいるうちに、別の記事で同じ単語に出くわす。文の中で使われている姿ごと出会えます。
- 単語帳やフラッシュカードで、こちらから会いにいく。いつ出会うかを選べます。
読書の中の再会は自然に起きますが、いつ起きるかは分かりません。よく使われる単語ほど早く再会できますし、そうでない単語は何か月も出てこないこともあります。
単語帳での再会は狙って起こせます。カードには読んだときの文とその訳がついてくるので、その単語にどこで出会ったのかも思い出せます。ただしそこにあるのは、そのときの一つの使われ方です。別の記事や別の言い回しでの出会いは、読んでいるあいだにしか増えません。
どちらか片方では足りないのは、そのためです。同じ「再会」でも、届く範囲が違います。
復習は、覚え直す作業ではない
単語帳を開くのが重く感じるとしたら、たいていは復習を「覚え直すこと」だと思っているからです。言えるようになるまで詰めようとすると、一語あたりの負担が大きくなって続きません。
復習でやりたいのは、覚え直すことではなく、思い出そうとすることです。出てこなくてもかまいません。思い出そうとして引っかかり、答えを見て「そうだった」と感じる。ここまでで一往復が終わっています。
一語に時間をかけないほうが、結局は多くの単語に触れられます。
覚えたものから、間をあける
会いにいく間隔にも、向き不向きがあります。よく覚えている単語を毎日見ても、得られるものは大きくありません。すぐに出てくるということは、記憶を引き出す手間がかかっていないからです。
反対に、出てこなかった単語には早めに戻ったほうが効きます。全部を同じ回数だけ回すのは、時間の配り方としてもったいないのです。
手応えのあるものは間をあけ、あやしいものには早く戻る。この配り方を変えるだけで、同じ時間で残る単語の数は変わってきます。単語帳で覚えた度合いを切り替えられるようにしてあるのは、この仕分けのためです。
読みながら貯めて、あとから会いにいく
Randoku が、読んでいるときにタップした単語をそのまま単語帳へ入れているのは、この二つの再会をつなぐためです。読んでいる最中に「覚えるべきか」を決める必要はありません。
読書のほうの再会は、記事を読み続けているかぎり勝手に回ります。同じ単語に別の記事で出会う機会は、読んだ量にだいたい比例して増えていきます。
足りなくなるのは、なかなか出てこない単語のほうです。そこはフラッシュカードで会いにいきます。読んだときに引っかかった単語が手元に残っているので、あとから選び直せます。
覚えていない単語が残っていても、気に病むことはありません。まだ再会の回数が足りていないだけです。
まずは1本、読んでみてください。
無料ではじめるアプリでの操作は 使い方ガイドの 単語を調べる・単語帳・フラッシュカード にあります。
あわせて読みたい

語彙・読む力
なぜ辞書を引かずに読むのか
多読では辞書を引かない、とよく言われます。ところが Randoku は、単語をタップすればその場で意味が出るようにできています。矛盾しているようで、そうではありません。
記事を読む
多読のはじめ方
「ちょうどいい難しさ」の見つけ方
多読がうまくいくかどうかは、読み方より先に、何を読むかで決まります。難しすぎる英文からはほとんど何も残らず、ちょうどいい英文なら時間はきちんと積み上がる。その境目はどのあたりにあるのでしょうか。
記事を読む
学習習慣
1日10分をどう積むか
英語は、数学のように順番に積み上がるものではありません。同じところを何度も通るうちに、少しずつ体になじんでいく。この性質が、時間の使い方をそのまま決めてしまいます。
記事を読む
