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多読のはじめ方

「ちょうどいい難しさ」の見つけ方

多読がうまくいくかどうかは、読み方より先に、何を読むかで決まります。難しすぎる英文からはほとんど何も残らず、ちょうどいい英文なら時間はきちんと積み上がる。その境目はどのあたりにあるのでしょうか。

積み重ねられた本のとなりに開かれた本と、コーヒーカップ

この記事のポイント

  • 難しすぎる英文は、時間をかけても何も残らない
  • 迷ったら下げる。難しくしすぎると、読む量ごと失われる
  • 合っていたかは、読み終えたあとに確かめられる

読み方より先に、何を読むか

多読がうまくいくかどうかは、読み方より先に、何を読むかで決まります。同じ時間を使っても、難しすぎる英文からはほとんど何も残りません。ちょうどいい英文なら、その時間はきちんと積み上がります。

この差は、がんばりの量では埋められません。だからまず決めたいのは、どれだけ読むかよりも、どのくらいの難しさを読むかです。

難しすぎると、順番に三つのことが起きる

難しすぎる英文を読むと、順番に三つのことが起きます。

  • まず読む速さが落ちます。
  • 次に、一文ごとに日本語へ置き換える読み方に変わります。
  • そして最後に、話の筋が切れます。

こうなると、英語を読んでいるつもりでも、やっていることは翻訳に近くなります。読み切れなかった英文は意味と結びつかないまま流れていくので、時間をかけたわりに手元に残りません。

やさしすぎるほうの失敗は、ずっと軽い

では、やさしすぎるとどうなるでしょうか。すらすら読める代わりに、新しい言い回しに出会う回数は減ります。ただし、こちらの困りごとは難しすぎる場合よりずっと軽く済みます。

やさしい英文を速くたくさん読むのは、多読としてはむしろ本来の姿です。迷ったときに下げるほうを選んでいいのは、そのためです。

難しくしすぎると、読む量ごと失われます。やさしくしすぎても、読んだ量は残ります。

ちょうどいい難しさは、どのあたりか

ちょうどいい難しさとは、ほとんどの単語が見慣れたもので、ときどき引っかかる、というくらいです。まったく引っかからなければ、新しい出会いが起きません。逆に引っかかり続けると、話の筋が切れてしまいます。少しだけ歯ごたえがあるあたりが、いちばん語彙の増える難しさです。

この難しさがいい理由は、はっきりしています。知らない単語の意味を推測できるのは、まわりが分かっているときだけだからです。知っている単語のあいだに知らない単語が点々と混じっている文なら、前後から見当がつきます。

知らない単語が続く文では、手がかりのほうが先に足りなくなります。同じ「知らない単語に出会った」でも、まわりが分かっているかどうかで、残るものはまるで違ってきます。

合っていたかは、読み終えたあとに分かる

いまの難しさが合っていたかどうかは、読んでいる最中よりも、読み終えたあとのほうがよく分かります。

  1. 01

    説明できるか

    話の内容を、だれかに説明できるか。

  2. 02

    速さが落ちなかったか

    読む速さが途中で落ちなかったか。

  3. 03

    読み直した回数

    同じ文へ戻って読み直した回数が多すぎなかったか。

このどれかが怪しかったなら、ひとつ下げてみる価値があります。逆に、どれも問題なく、引っかかりもほとんどなかったなら、そろそろ上げどきです。

「自分のレベル」はひとつに決まらない

気をつけたいのは、ちょうどいい難しさが固定されたものではないことです。同じ人でも、なじみのある話題ならすらすら読めますし、はじめての分野では急に重くなります。その日の集中力によっても変わります。

つまり「自分のレベル」がひとつに決まっているわけではなく、記事ごとに合う難しさが違います。Randoku が記事の途中でもレベルを切り替えられるようにしてあるのは、そのためです。難しいと感じた時点で下げて話の筋をつかみ、そのあと戻す、という読み方もできます。

上げどきは、引っかかりが減って、最後まで速さが落ちなくなった状態がしばらく続いたときです。一本だけで決めなくてかまいません。上げてみて重ければ、また戻せば済みます。上げたり下げたりすること自体は失敗ではなく、うまく合わせられている証拠です。

下げることに抵抗を感じるなら、それはたぶん、読むことを「正確に訳せたかどうか」で測ってきた習慣の名残です。学校で読んできた英文は、難しいものを正確に訳し切ることに価値がありました。

多読はそこを見ていません。ここで見ているのは、どれだけ難しいものを読んだかではなく、意味が通ったまま、どれだけ読めたかです。

最初は、思っているより低いところから始めるほうがうまくいきます。「読めるはず」の難しさから始めると、たいてい削られるのは読む量のほうです。多読は、立ち止まる回数を減らしてたくさん読むことで効いてきます。低いところから入って量が出るようになれば、上げる機会はあとからいくらでもあります。

まずは1本、読んでみてください。

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